米フェイスブックはこれまで、友人とは政治については語らない方がいいとの立場を示してきた。だが、この会話を避けようとすることで、同社はまさにその深みにはまり込みつつある。そして、最も大切な人との関係の一部を危険にさらしてしまった。2018年にケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルが発覚して以降、フェイスブックは選挙関連の偽情報からセキュリティーの不備、暴力コンテンツまで、数々の問題に直面してきた。これにうんざりしたユーザーの間では「フェイスブック削除せよ」と呼ばれる運動も広がった。だが、一方でユーザーの多くはとどまった。フェイスブックが成長を続けていることがこれを裏付けている。ケンブリッジ・アナリティカの不祥事が発覚した2018年3月から今年3月までに、フェイスブックの月間ユーザーは4億人余り伸びた。これは米国の全人口を上回る。広告収入は過去2年に平均で32%拡大。同社の業績はこれまで、ほぼありとあらゆる悪材料に対する強力な解毒剤として機能してきた。フェイスブック株価は、変動はあるものの、2018年終盤につけた3年ぶりの安値から約75%回復している。