学生時代の経験では、試験時間をいっぱいに使って少しでもミスを減らして点数を稼ぐことができる集中力と持続力が大事だった(大学で観察してみると、できの悪い学生の多くは、試験時間を集中しきる根気がない)。他方、社会人の仕事の場合は、「まずは80点!」であっても、ある程度形になったものを早く上司に見せて、安心させることの効果が大きいのだ。

上司から見える「まずは80点!」
最大の効果は安心感

 上司は、仕事に穴が空くことを避けなければならない。部下に仕事を任せる場合、極端に言えば、部下が急病に陥ったときにも何とかできる「プランB」を常に用意していなければならない。上司の側では、部下に仕事を任せるのはなかなか気を遣うことでもあるし、気が抜けないことでもあるのだ。

 この点を考えると、金曜日が締切である仕事のアウトプットを、水曜日時点で「80点の出来まで作りました。あとはどうしたらいいですか」と言ってくれる部下は、何よりも仕事に穴が空くリスクがほぼ無くなったことが分かって安心だ。そして、残りについて何を改善したらいいかについては、普通は上司の方が分かっている。そのため、結果的により完成度の高いアウトプットを作ることができる可能性が高い。

 上司から部下を見る場合に、何と言っても大切なのは、仕事における「安心感」だ。「この部下は、ここまではできるだろうし、できない場合は早めにSOSを出してくれるから、次の手を打てる」と安心できる部下は使いやすい。

 逆に、優秀かもしれないけれども、アウトプットが出てくるまでリスクがあって安心できないという部下は使い方が難しい。仕事に対して真面目で、こだわりがある部下の場合、こうしたことが少なくない。

 組織の世渡りにあって、相手に対する「安心感」は重要な要素だ。そして、知っている相手は、知らない相手よりも安心感がある。よく役員人事などで、「偉い人に近い(一緒に仕事をしたことがある、など)けれども仕事ができない人」が「仕事ができるけども、偉い人と縁がなかった人」を凌駕して出世することがある。これは、極端に言えば、「どれくらいできないかが分かっている部下」の方が「何も知らない部下」よりも上司にとっては使いやすいからだ。