ただ、「目先のニンジン」であった還元事業が終了したことの影響は大きく、キャッシュレス決済は岐路に立たされている。ITジャーナリストの三上洋氏は現状を次のように見ている。

「7月1日からは事実上の消費税増税です。昨年の10月から還元事業として中小事業者は5%、大規模チェーン店などは2%の還元が行われており、加盟店や利用するユーザーにとっては実質値下げでもあったわけですが、それが6月末で撤廃。コロナ禍の中で事実上の値上げの影響は大きいでしょう」

 10月の増税前に買いだめを行った人も多いが、三上氏によると、本当に駆け込み消費をすべきは6月だったという。

「昨年の9月で買いだめした人は正直損をしました。先ほど申し上げたように10月からキャッシュレス還元が始まったので、賢い人は増税に関係なくキャッシュレス分をお得に買い物ができたわけです」

キャッシュレスの勝者は
どぶ板営業のペイペイか

 9カ月に及んだキャッシュレス決済の覇権争いだったが、乱立したスマホによるコード決済においては現状、ソフトバンクやヤフーが出資する「PayPay(ペイペイ)」の一強だと三上氏は言う。

「おととしの100億円還元キャンペーンから派手な取り組みを多く打ち出し、かつ路地裏の居酒屋まで回る『どぶ板営業』を展開することでユーザーと加盟店を増やしました。ライバルであった『LINEペイ』を運営するLINEとヤフーが統合したことで、事実上競合はいなくなりました。実質的なユーザー数や加盟店数がずば抜けたペイペイの下に、楽天ペイ、d払い、メルペイがどんぐりの背比べで並んでいます」