米国の大学から学生側に「価格交渉力」がシフトするここ数年の傾向が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で一段と加速している。入学志願者の家庭には、車の値引きと同じように大学の授業料は交渉で決めるものという考え方が浸透し始めた。マサチューセッツ州在住のフランシス・マーセルさんの2番目の子供が数年前、大学入学を許可された際、授業料減額を求めたが、なしのつぶてだったという。だが今秋進学する3番目のイアンさん(18)が第1~第3希望の大学に入学を許可された後、減額を求める手紙を本人に書かせところ、3大学とも了承した。ある大学は約41%の減額を申し出たという。こうした交渉は軍拡競争さながらの様相を呈する。多くの大学は入学見込み者から最大限の授業料を引き出し、なおかつライバル大学に学生を取られないために、授業料と支援プランを組み合わせた最適の提案を考えている。入学者管理コンサルタントの業界では、コンピューターアルゴリズムを使い、入学見込み者それぞれの「価格感度」を大学管理者に助言している。