フェイクニュース
米国と日本のフェイクニュースはレベルが違う Photo:SOPA Images/gettyimages

米国での陰謀論とフェイクニュースの盛り上がり

 皆さんはPizzaGateという言葉をご存じでしょうか? 米国で2016年の大統領選挙の際に広まった陰謀論のことです。

 当時の民主党の大統領候補であったヒラリー・クリントン陣営の関係者が、ワシントンDCにあるピザ屋を拠点に児童の人身売買や性的虐待に関与しているというフェイクニュースが、トランプ氏を支持するオルタナ右翼などによってネット上で拡散されたのです。その結果、クリントン陣営はもちろんのこと、そのピザ屋の経営者もひどい誹謗中傷を受けました。

 その後、ソーシャルメディアのプラットフォーム側によるフェイクニュース排除の努力もあり、2016年の大統領選挙が終わるとPizzaGateも下火になりました。しかし、今年11月の米国大統領選を前に、この数カ月でまた急速に盛り上がってきています。

 今回のPizzaGateによるフェイクニュース拡散の舞台は、4年前にはなかった新たなソーシャルメディアのTikTokで、それを利用する若者世代の間で急速に広がっています。もちろん、トランプ支持の陰謀論グループQAnonも、フェイスブック上で頑張っています。

 ちなみに面白いのは、今回のPizzaGateの攻撃対象は4年前より格段に広くなり、政治家のみならず、ビル・ゲイツ、ジャスティン・ビーバーなど経済界や芸能界などのセレブも、グローバル・エリートとしてターゲットになっていることです。クリントン陣営に対する攻撃がメインだったPizzaGateが、今や若者層を中心とした大衆の不満を扇動する形へと進化しているのです。

 それが功を奏したのか、TikTok上で#PizzaGateのハッシュタグがつけられた投稿は既に8200万回以上閲覧されています。また、コメントや“いいね”が付いたりシェアされたPizzaGate関連の発言は、6月第1週だけでフェイスブックで80万以上、インスタグラムではほぼ60万もありました。過去数年はこれらの数字が2万以下であったことからも、短期間で凄まじい盛り上がりとなっていることが分かります。

 以上から分かるのは、大統領選を11月に控え、米国のネット上ではまた陰謀論とフェイクニュースによる誹謗中傷が蔓延しつつという現実です。