彼らは北朝鮮軍のエリートを代表しているはずだった。ロ・チョルミン氏は約3年前、新兵として南北軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)に派遣された。部隊の仲間46人を観察すると、自分と同様に他の兵士たちもみな背が高くて若く、そしてコネがあった。現在20代前半のロ氏は2017年の夏、正確な射撃の腕前と背の高さのおかげで、誰もが望むこの任務に就いた。約172センチという身長は北朝鮮ではかなり高い方だ。しかし、最初の射撃訓練に参加した時、驚いた。ほかに誰も姿を見せなかったのだ。仲間は上官を買収して訓練から外してもらっていた。ロ氏はやがて自分と仲間との違いを知ることになり、その違いが最終的に韓国への亡命へと彼を突き動かした。他のエリート兵士と違い、厚遇や迅速な昇進、訓練の免除を手に入れる金が同氏にはなかった。空腹にならないだけの十分な食料を得る金さえなかった。「自分に未来があるとは思えなかった」と言う。