4期8年務めた横倉義武・前会長を激戦の末に破り、日本医師会長に初当選した中川俊男氏が9日、ダイヤモンド編集部などの共同インタビューに応じた。これまでは“物言うドクター”として各方面から恐れられた中川副会長だが、会長就任後は影を潜めている。それでもインタビューの節々で、胸に秘めた熱き想いをのぞかせた。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
こう見えて激変は好きじゃない
日本の医療を少しずつ変えていく
――新会長就任の抱負、選挙戦(6月27日投開票で中川氏191票、横倉氏174票)を振り返っての勝因をお聞かせ下さい。
選挙戦はあまり振り返りたくないのが本音です。最終的には代議員の皆さんがしっかりと考え、投票していただいた。いろいろ分析はありますが、選挙が終わればノーサイド、オールジャパンで。一部時間が掛かる部分はあると思いますが、そういう気持ちで仕事をしていきたいと思います。
――コロナ禍という大変な時期での会長就任。もっとも取り組むべき課題とは何でしょうか?
たまたま大変な時期に会長になっただけ。大変な時期だから会長になったわけではありません。14年間の日本医師会における役員経験(編集部注:4年間常任理事、10年間副会長)を振り返ると、これまでもずっと大変でした。今は特にコロナ感染症対策をどうするかが最大の仕事。この会見場に来る瞬間まで「医療機関が倒れそうだ」という全国の声がいっぱい届いていました。具体的な施策を政府与党、財務省、厚労省に求めていく作業中、協議中です。
――新会長として日本医師会の従来の体制を踏襲するのでしょうか? あるいは何を変えていきたいのでしょうか?
立候補に当たり、「(横倉体制の)本流の後継者だ」と言い続けてきました。14年間も執行部の中心にいたわけですから、「これがけしからん」ということで出馬したわけではありません。ましてや私は筆頭副会長として横倉会長を支えてきたのですから。リニューアル、ブラシュアップ、パワーアップ。3つの視点でやっていきたい。
――日本医師会内での長い経歴がどう活かされるのでしょうか?
結論からいうと私の仕事ぶりを見ていただくしかありません。3人の会長にお仕えして、それぞれ素晴らしい「器」でした。横倉前会長の本流の後継者と言いましたが、まったくそのままだと私が会長になった意味がありません。ただし私はこう見えても激変は好きじゃない(笑)。少しずつ変えていく、みんなが納得したうえで変えていく。そういう方向性で、常に冷静にやっていきたいです。