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 新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
 そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
 発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

睡眠はメンタルの安定にも重要

 ジョージワシントン大学の臨床神経心理学者、ウィリアム・スティクスラッド教授によると、睡眠には「癒し」の効果があるといいます。寝ているあいだに、起きているときに経験したつらい感情が和らぎ、ストレスに関連した神経化学物質が脳からなくなるためです。朝起きるとなんだか頭がスッキリしたと感じるのには、科学的な根拠があるのです。

 十分に睡眠がとれれば脳はリフレッシュして、思考と行動をコントロールすることができます。

 一方で、「子どもがキレやすかったり、プレッシャーやストレス、不安に弱い場合、睡眠不足が引き金になっていることがある」と、小児科医でもある文教大学教育学部の成田奈緒子教授と臨床心理士の上岡勇二氏は指摘します。質のよい睡眠は、体の成長や学力アップのためだけでなく、心の安定にもとても重要だということです。

寝る時間が遅いから、睡眠時間が短くなる

 アメリカ国立睡眠財団によると、子どもの理想の平均睡眠時間は、3~5歳で10~13時間、6~13歳で9~11時間です。これに対して江戸川大学睡眠研究所所長の福田一彦教授は、日本の子どもたちは世界的に見て睡眠時間が短く、その主な要因は寝る時間が遅いからだと述べています。

 では、子どもが「良質な睡眠」をしっかりとるにはどうすればいいでしょうか?

【その1】お風呂は寝る90分前がベスト

 スタンフォード大学の精神医学者、西野精治教授によると、人は眠くなるとき、体の内部の温度である「深部体温」が下がる特徴があるといいます。寝る90分前に入浴すると、寝るころにちょうど体温が下がり、眠りやすくなるそうです。

【その2】寝る直前は食事を控える

 寝ているあいだも胃は消化活動を続けます。食事をしてから、胃腸の働きが一段落するまで約3時間かかるので、できるだけ寝る3時間前までに食事をすませるようにします。

【その3】朝は朝日を浴びる

 睡眠ホルモンの「メラトニン」は脳から分泌されるホルモンで、このホルモンの働きによって人は眠くなり、自然に睡眠に入ることができます。メラトニンは、朝の光で分泌が抑えられ、夜の暗い環境で分泌が高まります。朝起きたらすぐにカーテンをあけ、朝日を浴びることで分泌を抑え、逆に夜は分泌を高めるために明るさを控えます。

【その4】電子機器は寝る1時間前から見ない

寝る前にブルーライトに当たると、良質な睡眠をもたらしてくれるメラトニンが分泌されにくくなります。夕食後は電子機器をオフにし、部屋を暗くして、目に入ってくる光の量を減らしていきます。

【その5】休みの日に「寝だめ」しない

「平日に早寝早起きができていても、週末に朝寝坊すると、時差ボケのような状態になり、脳が萎縮したり、反応時間や正答率の低下などの弊害が出てくるというデータがある」と、福田教授は指摘します。

 また、文部科学省が全国の中学生を対象に、「平日と休日の起床時間が2時間以上ずれる頻度」と「イライラの有無」との関係について調査した結果、よくずれる人ほどイライラし、ずれが小さい人はあまりイライラしないことがわかりました。

 平日と休日の起床時間のずれは、精神状態の悪化を招きます。週末くらいは朝寝坊して寝だめしたいところですが、「平日と休日のずれはできれば1時間以内にとどめておくべき」と福田教授はいっています。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)