東京都市夜景人が東京に来なくなった。仕事があってもコロナの恐怖が勝ってしまうためだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

感染拡大に怖れを募らせ
東京から人口が流出中

 コロナ禍で東京に移り住む人が軒並み減り始めている。5月の都区部の日本人転入超過人口(転入者数から転出者数を差し引いた数)は、対前月比で747人のマイナスになった。転出超過になるのは、東日本大震災後以来9年ぶりのことだ。5月は毎年、5番目に流入が多い月で、過去4年は安定して平均3716人のプラスだった。それが単月で約4500人減少し、マイナス圏に入ったことになる。

 通常、年度始めの3月の流入が最も多く、過去4年は安定して3万2332人が流入していた。緊急事態宣言の発出前だったこともあり、今年は3万4465人と例年以上だった。これは、新年度の流入の多くが大卒の就職組であるためで、内定はすでに1年近く前にもらっているので、予定通りの行動と言える。しかし、5月は新卒就職組の影響ではない。

 転入超過の減少は、主に転入者数の減少によるところが大きい。転入者数の減少は4月は対前月比で▲4294人、5月は同▲9712人となり、東京にやって来る人が減っている。このマイナスは、感染者数がけた違いに多い東京が敬遠されているせいだと思われる。

 そうだとすると6月以降の感染者数の伸びは、今後発表される6月以降の転入超過人口のさらなるマイナスに影響しそうだ。6月以降は12カ月の中でも転入超過数が少なく、そこからこの2カ月の人の流れの傾向を差し引くと、今後9カ月で2万人の純減が見込まれる。3月の3万人を超える流入超過の3分の2を食いつぶしてしまう。

 それだけではない。ここまでの話は、日本人の移動者人口の話なので、外国人を含んでいない。外国人は日本人以上にコロナ感染には敏感で、3月からの3カ月で都区部からの脱出組が5700人にのぼり、祖国に帰った人はその数をすでに超えている。こうして、今年3月の日本人の流入3万4465人は、すべて流出で消えてしまうことになりそうだ。