イギリスの2011年のGDPは1.5兆ポンド(1ポンド=125円で換算すると、約188兆円)であるのに対し、10年末の対外資産と負債は、それぞれ約10兆ポンド(約1250兆円)だ。つまり、対外資産、対外負債は、それぞれGDPの約7倍あるわけで、GDPに対する対外資産・負債の比率は、日本の場合に比べてずっと高い(【図表1】参照)。
イギリスの対外資産・負債のパタンは、日本のそれとも、アメリカのそれともかなり異なる。
日本の場合の対外資産は、過去における経常収支の黒字が蓄積されたものだ。そして、対外負債よりかなり大きい。しかし、イギリスの対外資産は、経常収支で蓄積されたものではない。イギリスの国際金融は、国内金融とはほぼ切り離された存在だ。外国から資金を調達し、それを外国で運用しているのだ。対外負債が資産とほぼ同じだけあることが、それを物語っている。
巨額の資産・負債を、さまざまな形態で、またさまざまな国・地域と取引している。以下で見るように、相手国によって、かなりパタンが違う。そして、世界経済の動向に大きな影響を与えている。
アメリカの場合は、経常収支の赤字がきわめて大きい(2011年度で4659億ドル。これは、GDPの3.1%)。それを補うために資本輸入している。したがって、対外負債が対外資産をかなり上回っている。
イギリスの対米投資が
アメリカ住宅バブルを支えた
イギリスの国際的資本取引は上記のようにさまざまな国との金融仲介なので、総額を見ても動向はよくわからない。相手国別にブレイクダウンして見る必要がある。