中国に対する日本の輸出が減少していることを前回述べた。10月13日に発表された中国の税関統計は、状況がさらに悪化したことを示している。すなわち、9月の日本の対中輸出は、前年同月比で9.6%という大幅な減少となった。
重要なのは、中国の総輸入額は対前年同月比2.4%増、輸出は9.9%増と、8月の減少から増加に転じたことだ。低調とはいえ、増加率はプラスである。その中で、日本からの輸入がこのように大きく減少しているのだ。
対中輸出の減少で、日本の鉱工業生産指数はさらに落ち込む可能性が高い。9月の工作機械受注額は、前年比3%の減少となった。
対中輸出は、現在の日本経済で最大の下振れ要因となっている。したがって、その減少がいかなるメカニズムで生じているのかを知ることが重要だ。
反日感情より
直接投資減が問題
一般に言われるのは、反日感情の高まりによる日本製品排斥や不買運動である。
確かに、中国国内での自動車の販売などには、この要因が大きく影響している。トヨタ、ホンダ、日産自動車の9月の新車販売台数は、前年同月比35~48%という大幅な減少になった。
しかし、日本の対中輸出について言えば、これが減少の主要要因とは考えにくい。理由はつぎのとおりだ。
第1に、対中輸出の対前年比マイナスは、2011年4月からの現象だ(11年6、8、9月、12年5月だけが例外)。これは、反日の影響だけとは考えられない。それが影響していることは事実だが、それだけでないし、ましてや最重要かどうかは疑問だ。