逆に収入はほぼ確実に減ります。まずは役職定年がある会社では、それを機に収入が減ります。また定年後、再雇用などで雇用期間を延長すると、現役時の収入から2~3割減、中には半減もしくはそれ以下という場合もあります。これは定年延長の場合も起こりえることです。

 支出が減らないまま定年、年金生活が始まり、蓄えからの補填が毎月10万円、1年だとイレギュラー支出を含めて200万円にも上るというご家庭もあります。かなりの蓄えがあるのであればそれでも良いのでしょうが、やがて老後資金が不足してしまう場合がほとんどです。

 ですから、現役時から老後の減収を見据え、「生活規模を縮小しておく」ことが賢明です。しかし、それができない人が多いのです。

役職定年で「赤字家計」に…
59歳夫の首を絞める要因とは

 先日相談に来られたBさん(59)も、かなり気を引き締めないといけないと思われる、「老後破綻予備軍」の一人です。子どもは独立し、パートで働く妻と二人暮らしをしています。

 56歳で役職定年と同時に、退職金の一部を受け取りました。退職金の総額は約4000万円。自分なりに老後の暮らし方を考え、2000万円を一時金として受け取り、残る2000万円を65歳から20年間、年金として受け取ることにしました。

 役職定年後は月収も下がり、それまで1カ月あたり70万円近くあった手取り収入は、妻のパート代も合わせて約50万円に。しかし、支出を減らすことができず、あっという間に収入を使い切る家計になってしまいました。

 不足する月には貯金から補填します。ただ貯金といってもそのほとんどが一時金で受け取った退職金。56歳で受け取った2000万円は、3年後の相談時には300万円近く減っていました。まだまだ月の収入がしっかりあることを考えると、減るスピードはかなり早いといえます。

 なぜそんなに貯金が減っていくのか。それにはワケがありました。40代で組んだ「住宅ローン」です。毎月の返済額17万円に加え、ボーナス払いの併用で年間約40万円の出費となっています。月の返済額は支出の約34%。やや高い割合ですが、極端に生活費の首を絞めていると思えません。ただボーナス払いはかなり負担となっていました。固定資産税やその他の支出も合わせると支給されたボーナスでは足りず、ほぼ貯金から支払っている状況だったのです。