米電気自動車メーカー、テスラだけを見れば、米株市場で異様な投機熱が高まっているのは明らかだ。ドイツ銀行のストラテジストによると、テスラ株は3月以降、米自動車大手フォード・モーターの8倍、仏同業ルノーの27倍に相当する時価総額を積み増した。個人投資家の株取引が急増したこと、あるいは見方にもよるが、世のギャンブラーがスポーツから株に賭けの対象を変えたことの恩恵を受けた。投資家心理は、逆張りの重要な指標となり得る。3月のように誰もがパニックに陥れば「買い」だ。逆に皆が理性をなくして熱狂している時は「売り」だ。そしてテスラほどの過熱ぶりを示す銘柄はめったにない。ただ問題は、テスラ以外の市場はそうではないことだ。いま市場は二分されている。小売株のトレーダーは色めき立っているが、プロの投資家や個人の長期投資家はまだ警戒心を緩めていない。