中国が香港への統制を強化していることで、欧米諸国では、香港が国際金融の中心としての地位を失う日は近いともささやかれている。だが、中国は国内企業の資本調達市場として、香港がさらに巨大なマネー拠点に成長すると踏んでいる。中国が香港で「国家安全維持法(国安法)」を施行して以降、香港では市民の言論の自由が脅かされているほか、駐在員は香港脱出を検討し、ハイテク企業の間では警戒が広がった。主要7カ国(G7)は、香港の繁栄を支えた制度を国安法は台無しにすると警告。ドナルド・トランプ米大統領は、中国当局者と取引した銀行を処罰する制裁法に署名して成立させた。しかし、香港に深く根ざしているグローバル金融機関は、すでにビジネス環境の変化に適応しており、過去10年に世界トップの高度成長を遂げてきた中国から利益を得ている。標準中国語を話すスタッフの採用を強化し(一部はアジアの幹部職に昇格させている)、中国企業や投資家から一段の案件や資金を引きだそうと狙っている。