韓国からの訪日人数はトップ
旅行やイベントではやはり影響大

 ただし、不安が小さいかと言えば、そうでもない。負の影響を被る分野はやはり少なくないという。

「このまま問題が長引けば、民間の交流イベントや現地研修などは自粛せざるを得ない流れになるでしょう。旅行客の減少や修学旅行の行き先変更など、多方面で影響が出る可能性はあります」(向山氏)

 東日本大震災で外国人旅行客が激減し、最近ようやく回復傾向にある旅行業界にとっては深刻だ。今や韓国からの訪日外客数は、中国やアメリカなどを押しのけてトップとなっている。

 政府観光局の調査によると、2010年における韓国からの訪日人数は約243万人(外客全体の28.3%)と、全ての国の中で1位。大震災が起きた2011年は約165万人まで減ってしまったが、単月ベースでは今年7月に約18万人と前年度比35.4%の伸びを見せている。このまま順調にいけば、2012年は通年でも順調な回復を見せそうだ。

 またリピーター率も、韓国は58.6%と中国(17.2%)、アメリカ(37.6%)よりも高い数字となっている。

 ちなみに訪日数の2位は中国だが、かの国と日本の間にも尖閣問題の火種が燻っている。今後、日韓、日中間における領土問題のいざこざが旅行業界に波及すれば、ようやく上向いてきた客足を再び減少させることになりかねない。

 政治問題が経済に波及するリスクを低減するためには、やはり日本自らが経済制裁に乗り出さないほうがよいのだろうか。

「日韓通貨スワップ協定の延長見直し、国債購入の凍結など、経済制裁には基本的に反対。それによって関係が悪化することはあっても、事態の打開は図れず、両国の経済にも大きな影響が出ます。経済関係の緊密化や国民レベルの交流促進などに水を差す行為は、避けるべきです」(向山氏)