「どうやって美しさを保つ?」「50代で結婚できる?」「年老いた親をどうする?」「50代で仕事を失ったら」「大人であることのメリット」……など、大人の女性のリアルを綴ってフランスで大人気となったブログを元に生まれた書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』が、6月3日に発売。化粧品とテクノロジーの進化により、母親世代よりもずっと若く美しくなった今の女性たちですが、アクティブに人生を楽しんでいるように見えて、「みんな言わないけど、本当はどうしてるの?」「これって私だけ?」と密かに気になっていることがたくさんあるはず。この連載では、誰も教えてくれないリアルな恋愛事情と、大人としてのお作法について、著者の体験をもとに紹介していきます。

悲劇をもたらす男 その2

Photo: Adobe Stock

悲惨なタルトパーティーのあと、私の出したサインに最初に気づいたのは、エドワールだった。

若くて美形で、頭が切れるところが好みだったけれど、ちょっと自己中心的な人にも思えた。出会ったのは、ある食事会。その終わりに、私はちょっと品がないほど大胆に踊ってみせた。ほほ笑みとダンスを私の「サイン」にしようと考えたのだ。効果はてきめん。2日後、教えていなかったはずの番号に電話があった。

彼は面白くて、気前のいい人だった。週末に、私を素敵なところに連れて行きたい、と彼は熱心に誘ってくれた。イタリアのロマンティックな村がいくつか候補に挙がったけれども、なかなか決められない。ある日、イタリアに住んでいたという彼の友人に会ったので、私は遠慮がちにコモ湖はどうかしらと言ってみた。どの湖もそうだけれど、私にとっては、愛の極みを表す場所だったから。するとその友人は、とても退屈なところなので、アツアツのカップルにしかすすめられないとのこと。このとき、エドワールが即座にこう言った。「じゃあ、急がないといけないな」と。

こういう冗談を言う人が好きかと聞かれたら、いまはきっと「あまり好きじゃない」と答える。苦い思いをさせられたから。でもそのときは、自分の気持ちを隠してしまった。いま思えば、彼は意図せずに本音を漏らしていたわけだけど。

本当は、ここできっぱり別れるべきだった。でも、こうした侮辱的な発言(実はこのときだけじゃなかった!)をするたびに、彼はうっとりするほど、自分を魅力的に見せるのだ。アメとムチの使い分けが、とても上手な人だった。そして、気持ちが冷めたかと思うとまたすぐに魅せられて、の繰り返しで3ヵ月が過ぎ、いよいよ週末の旅行先が決まろうかというとき、彼は突然消えた。影も形もそっくりなくなった。