大人の恋愛で横行! 恐怖の「ゴースティング」

英語では、この現象を新しいテクノロジーにからめて「ゴースティング」と呼ぶ。ある日突然、その人はあなたのレーダーから消える。携帯に電話しても出ない。むこうからもかかってこない。あなたは驚いて「?」だけを送る。それでも返事が来ないので、本当の終わりなのだと悟る。

卑怯だけれども有効なやり方。やられた側は不愉快どころか、トラウマになる。泣きながら抱き合うこともなく、涙ぐみながらの別れの食事もなく、「君は本当に素晴らしい人だ」と言ったとたんにスパゲティ・ボンゴレがお皿ごと飛んできてスーツを汚すこともなく、「君は僕にはもったいない」と「僕たちの関係を平凡なものにしたくない」をセットで言うこともない。「もうあまり好きじゃなくなった」なんて下手な言い訳や、「あまり気分がよくなくてね」というわかりにくい説明もない。

何もない。スマートフォンがこう告げるだけ。

「通信はブロックされました」。

ずっとあとになって、エドワールからメールが届いた。「元気?」と。普通に解釈するならば、「僕はあまり元気じゃない。話がしたいんだ」。でも、この男のことだから、「いつセックスできる?」という意味に解釈すべき。欲求不満と孤独の重さを感じていたなら、「元気よ。あなたは?」と返事をしていたかもしれない。でも、そうしたら、短くて不安定でつらい関係に再び引きずり込まれることになる。もう一度、あんな思いをする覚悟はある? 自分にこう聞くまでもなく、メールをすぐに削除し、ごみ箱も空にした。

さあ、元気を出して!

せっかく見つけた良さそうな男性を見つけたのに......この「ゴースティング(ばっくれ?)」は、特に大人の恋愛、婚活市場で横行し、私たちを悩ませる。でも、大丈夫。こういうのはよくある話。あなたに相応しくない男を一人、選択肢から排除できたと思えばいいだけ。ミレーヌ・デクロー著・吉田良子訳の書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』では、ほかにも著者や友人たちの実体験や、大人ならではのパートナー選びのコツについて、フランス人ならではのウィットに富んだ視点を、クスっと笑えるエピソードとともに多数紹介しています。