米国務省は北極圏への中国の進出をけん制し、同地域での米国の商業機会を探る調整役にキャリア外交官のジェームズ・デハート氏を起用した。デハート氏は29日付でマイク・ポンペオ国務長官とスティーブン・ビーガン国務副長官に直属の北極圏担当調整役に就いた。トランプ政権では複数の省庁機関が北極政策に関与しているが、デハート氏は国務省を代表して北極政策を助言し、北極諸国に働きかける。デハート氏はインタビューで「人々は今から1、2年後に今の時期を振り返り、米国の北極政策が転換点を迎えたことを認識すると思う」とし、「米国は総合的かつ包括的な外交戦略を立ち上げ、北極圏に積極的に関与する」と話した。気候変動による海氷や氷床の溶解を受けて、米国のほか中国とロシアも資源開発と輸送の機会を視野に入れるようになった。一方で当地に進出するその他の国は気候変動の危険性に焦点を当てており、この食い違いが昨年の北極評議会(AC)での合意を阻む要因になった。