JA共済ビル 東京・千代田区のJA共済連のビル。農協の保険事業の大元締めとして2019年度は814億円の純利益を上げた Photo:JIJI

JAグループの全国組織の会長選が終わった。JA京都中央会会長の中川泰宏氏は、JA共済連の会長に立候補したが選挙で敗れた。農協組織を私物化する傾向がある中川氏の落選に、農協界では安堵が広がったが、改革派のリーダーが生まれたわけではなく、安心するのは早そうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

農協の長老らが“反中川連合”形成
会長選挙でダブルスコアの差

 JAグループ全国組織の会長は、各地の農協の組合長らから選出される。7月は、JAグループの政治組織であるJA全中、保険事業を行うJA共済連、商社機能を担うJA全農といった主要組織がトップ人事を行った。

 最大の焦点は、“京都農協界のドン”JA京都中央会の中川泰宏氏の動向だった。中川氏は5月30日、共済連会長への立候補を表明。「いよいよ中川氏が全共連を牛耳るのか」とJAグループ内で警戒感が広がった。

 中川氏が小泉チルドレンとして衆院議員を務めたことや、京都中央会会長を25年間務める独裁的リーダーであることはJAグループ内に知れ渡っている。

 その政治力と組織を統べる手腕をもってすれば、「共済連会長を足掛かりに、JAグループ全体の首領になってもおかしくない」(農協関係者)と懸念されていたのだ。