新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり 』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

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子どもの「強み」に注目してあげる

「幸福」の研究で有名なペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授は、「幸福な人生を送る人は自分の強みを知っていて、それを使っている」といいます。

 ポジティブ心理学者のリー・ウォーターズ教授の調査では、「強みに注目するタイプの親」をもつ10代の子どもには、次のような心理的な特徴が見られました(『ストレングス・スイッチ』光文社)

・人生に対する「満足度」が高い
・喜びや希望といった「ポジティブな感情」が大きい
・「自分の強み」をよく理解している
・強みを生かして、宿題を「締め切り」に間に合わせる
・強みを生かして、友だちとの「問題を解決」する
・積極的な方法で「ストレスを解消」する
・日常的なストレスを「あまり感じない」

 親が子どもの強みに注目すると、子どもの自己肯定感が高まることがわかります。では、子どもの強みに注目するにはどうすればよいでしょうか?

【その1】自分の「ネガティブな思考」に気づく

 私たちには、自分の弱点に関して、うまく見過ごすという無意識の心理メカニズムが働いています。また厄介なのは、受け入れたくない自分の弱点を、無意識のうちに相手に押しつけてしまうことです。

 これは心理学では「投影」と呼ばれるもので、わが子のためと言いながら、じつは自分の願望を子どもに託してしまうのです。

 さらに、脳は本来、正しいものよりも間違ったものにすばやく、頻繁に気づくように設計されています。親は無意識に、子どもの強みより弱みや欠点に目が向いてしまいがちであることを自覚しておきます。

【その2】意識的に「強み」に目を向ける

 ネガティブ思考から抜け出せず、子どもの弱みや欠点しか目に入らないときには、「脳内を意識的に『強みモード』に切り替える必要がある」とウォーターズ教授はいいます。

「強みモード」に切り替えるためには、①数回、深呼吸し、②「強みはあるが、ただ隠れているだけ。強みを見つけるスイッチを入れよう」と自分に言い聞かせます。

 脳は意識を向けるところにエネルギーが流れるため、意識的に強みに目を向けるようにしていれば、自然と子どもの強みに関心が向くようになります。

【その3】子どもをよく「観察」する

 ウォーターズ教授によると、強みには次の3つの要素があります。

・得意:同じ年齢の子どもより、うまくできるか。すぐに上達したか。
・熱意:イキイキとして熱中しているか。
・頻度:空いた時間に何をしていることが多いか。

 上手にこなせると子どもはうれしくなり、ますます熱中してもっと積極的にやろうとします。こうして強みの3要素は好循環を生み、強みをさらに伸ばしていきます。

 3つを満たさず、たとえば「得意」というだけで子どもにその活動を押しつけても「それは強みに見えるだけで、本当の強みではない」とウォーターズ教授は指摘します。

【その4】「見方」を変える

 弱みや欠点に見えることも、とらえ方を変えれば自分の強みだと思えるようになります。コップに水が半分入っているのを「半分しか入っていない」と見るか、「半分も入っている」と見るか。「ものは言いよう」なのです。これを心理学では「リフレーミング」と呼び、実際に心理療法で使われています。

リフレーミングの例
・あきっぽい→環境にすぐなじめる/好奇心旺盛
・いいかげん/のんびり→おおらか
・落ち着きがない→子どもらしい/元気
・臆病/優柔不断→慎重/用心深い
・反抗的→自立心がある/自分の意見がある
・勉強嫌い→勉強以外に好きなことがある
・忘れっぽい→こだわらない/新しいことにチャレンジする

【その5】「強みをピックアップ」して伝える

 子どもの強みをひとつ選んで、その強みを1週間見守り、気づいたことを子どもに伝えます。

「がんばって宿題をしていたね。粘り強くてまじめなところに感心したよ」「妹の着替えを手伝ってくれてうれしかったわ。思いやりがあるのね」といった言葉をかけます。

 あるいは子ども自身に自分の強みをひとつ選ばせ、その強みがとてもよく表れていると思う体験談を教えてもらうのも、子どもが自分の強みを自覚するきっかけになります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり 』の内容を抜粋・編集したものです)