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新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり 』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

「小さな喜び」は心の貯金になる

 日々の生活の中で小さな喜びを味わうことは、ポジティブな感情を引き出してくれます。ハーバード大学元講師のポジティブ心理学者、ショーン・エイカー博士によると、ポジティブな感情が湧き起こると視野が広がり、ストレスや不安に対する強力な毒消し効果が得られるそうです。

 メルボルン大学のポジティブ心理学者、リー・ウォーターズ教授は、こうした小さな喜びを「お楽しみの貯金」として蓄えておけば、つらいときにもその思い出をひっぱり出して気持ちを立て直せるといっています。

 では、子どもに「小さな喜び」を味わわせてあげるにはどうすればいいでしょうか?

【その1】「五感」を使わせてあげる

 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を意識すると、身近にある喜びを見つけやすくなります。「レーズン・エクササイズ」は、五感を研ぎ澄まし、気持ちを落ち着かせるのに効果があるといわれ、アメリカの多くの学校で取り入れられています。

 まず、ゆったりと座り、レーズンをつまみ、初めて見るものだと思ってよく観察します。形、色、弾力や匂いを確かめます。

 じっくり観察した後は口に含み、最初は噛まずに舌の上で転がして、風味や舌ざわりを感じてみます。それからゆっくり噛んで味わってから飲み込みます。

 のどを通っていく感覚も意識しながら、お腹の中に運ばれていく様子、それが血液になって体の隅々にまで届く様子、骨や筋肉に変わっていく様子を想像します。レーズンの代わりに、チョコレートや梅干しなどでもOKです。

【その2】「目隠し」をして食べてみる

 人間の感覚は、その8割を視覚に頼っているといわれます。その視覚を遮断すると、他の感覚が敏感に働き、ふだんは気づかないような喜びに出合うことができます。

 スイスで始まった「ブラインドレストラン」のコンセプトは世界に広まり、日本でも取り入れているお店がありますが、これはアイマスクをして食事をすることで、食材の新たな魅力に気づく試みです。

 何を食べるのかが見えないだけに、他の人が食べている音にも注意が向くので、聴覚も使います。子どもと一緒なら食材の当てっこや食べ比べをするなど、ゲーム感覚で楽しめます。

【その3】一緒に「スクラップブック」をつくる

 アメリカのロヨラ大学の社会心理学者、フレッド・ブライアント教授によると、過去のいい思い出は現在の幸福感を高めてくれるそうです。

 過去を思い出すひとつの方法として、ブライアント教授は、「スクラップブックづくり」を勧めています。昔の写真を1枚ずつ見ていきながら、楽しい思い出を彩るページを子どもと一緒につくることで幸せな気持ちになれ、楽しい会話が弾むといいます。

【その4】「与える経験」をさせてあげる

 カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究では、人間は生まれつき、他の誰かに何かを「与える」ことで幸福を感じるのだそうです。2歳未満の幼児でも「自分が人に何かをしてあげたときに、してもらったときよりも強い喜びを示す」ことがわかっています。

 家のお手伝い、弟妹やペットの世話、おこづかいからの募金など、自分が誰かの役に立つという経験をさせてあげることは、子どもにとって喜びになるのです。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり 』の内容を抜粋・編集したものです)