コロナ禍で悪化
年金積立金の運用状況
7月3日に年金積立金を運用する独立行政法人(GPIF)が2019年度の運用状況を発表した※1。2019年度の運用については収益率がマイナス5.20%、実際の収益額はマイナス8兆2831億円であった。特に今年の1~3月の第4四半期に限って言えば、マイナス17兆7072億円と、四半期としては過去最高のマイナス幅であった。
毎度のことながら、マスコミはこぞってこの結果を取り上げ、「消えた8兆円」とか「GPIFの運用失敗」と書き立てたところも多かった。
しかしながらこれは毎度のことであり、その後に大きく市場が回復して大きな利益が出たときはどこも詳しくは報道しないため、1次情報を確認せず、マスコミの報道だけしか見ていない人にとっては「年金の運用は失敗している」というイメージだけが植え付けられている。
ここで、よく考えてほしい。今年の1~3月といえば、コロナショックともいうべき全世界の株式市場で大きな下落があったのだ。日本もアメリカもこの間に3割以上は下落しているのだから、年金運用の収益が下がるのもやむを得ない。「いや、そんな下落相場の時でも下がらない銘柄を買って運用し、もうけるのがプロだろう」と言う人がいるかもしれない。申し訳ないが、そういう人は全く株式市場のことがわかっていない人で、恐らく永遠に株でもうけることなどできないだろう。