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  部下の話は傾聴する必要がある。1on1ミーティングでも、傾聴は基本である。しかし、傾聴とは、「ただ聞く」ことではない。部下が話したいことを話すために、上司はどうすればいいのだろうか。
『ヤフーの1on1』の著者である本間浩輔氏が解説する。(構成:フリーライター:間杉俊彦、
撮影:大崎えりや)

リモート環境下に
どのように信頼感を醸成するか

  連載第1回では、上司と部下との間の信頼感が重要である、と強調しました。当たり前のことのように感じるかもしれませんが、日頃のコミュニケーションの少なさ、あるいは拙さが信頼感をも希薄にしているように思います。それにはメールやSNSなどコミュニケーション・ツールの発達が逆に作用している面がありますし、職場のフリー・アドレス化の影響もあるでしょう。加えて、リモート化です。私たちの働き方は、ここで大きく変わってしまいました。

 信頼感を醸成するため、あるいは信頼感を取り戻すために、対話はますます重要です。そこで今回は、1on1によって信頼感を醸成し、ひいては部下の成長に役立てるための、やり方について、みなさんと考えてみたいと思います。

(1)「傾聴」とは「ただ聞くこと」ではない

 1on1を導入する・しないに関わらず、上司が部下とのコミュニケーションを促進するために「話を聞くことが大事」ということは、広く浸透してきたように思います。少なくとも、「上司は部下を厳しく指導すべき」、「上司に部下の話を聞いている暇はない」などという昭和スタイルは、流行らなくなりました。いわゆる「傾聴」は、コーチングの考えの広がりとともに、一般に知られたスキルになってきたと思います。
 
  1on1の基本もこの「傾聴」ですが、いろいろな企業の実践を見ると、少し誤解があるように感じることがあります。研修などを通して、「傾聴とは聞くことだ」と強調されるからかもしれませんが、「真剣に、我慢して、聞けばいいんだな」と理解している方がいるのではないでしょうか。

 もちろん部下の話を聞くのは基本ですが、人は機械ではありません。「じゃあ話して」とボタンを押せば、日頃なかなか言う機会のないこと、秘めた本音を話し始める、などということはないのです。