ここまでお読みいただいて、「そんなにしょっちゅうやったって、話すことなんてない」、「何を話したらいいのか」と思われた方も少なくないでしょう。そこでヒント、というか、提案を1つ、してみましょう。

優れたリーダーは
スモールトークがうまい

 たとえばエレベーターで部下と乗り合わせた時、廊下ですれ違った時、あなたは声をかけますか? 部下の方も、そんな時、スマホをいじって目も合わさないかもしれません。そこで、一言、声をかけられるかどうかで、1on1の質が変わります。1on1を導入していなくても、部下との会話は業務のことだけ、会議でだけ、というのでは、信頼感は生まれないのではないでしょうか。

 経営学者のヘンリー・ミンツバーグは、優れたリーダーの共通項として「スモールトークがうまい」ことを挙げています。スモールトークというのはエレベーターや廊下での一言のことです。そこで、「子どもは元気か」とか「おまえ病気治ったのか」という一言が言える人が、組織では非常にパフォーマンスが高いというのです。言い換えるなら、ドゥーイングもさることながらビーイングを重視している、ということだと思います。

  令和になって、部下のプライベートを話題にすることに留意が必要な時代になりました。ミンツバーグが挙げた例を、無邪気に問える時代ではないと思いますが、ビーイングを言葉にしてみる価値はあるし、上司が身につけたい技術の1つでもあると思います。

 そういう姿勢が業務の話になった時、また1on1での対話についても、生きるように思います。ミンツバーグの話はとても示唆的だと思うのですが、いかがでしょうか?