大腸菌1位は常滑市の大野
愛知県は4カ所がワースト10入り

 水質格付けが「A」と「B」の海水浴場のうち、17~19年のふん便性大腸菌群数(個/100ml)の平均値が20個以上の海水浴場をランキングの対象として選んだところ、50カ所が該当した。順位は大腸菌群数が多い順だが、個数が同じで水質の格付けが異なる場合は、格付けが低い海水浴場を上位とした。

 1位は愛知県常滑市の大野。『方丈記』の作者、鴨長明が海水浴場としてたたえた由緒あるビーチだ。江戸末期に刊行された地誌『尾張名所図会』にも、大野は万病に効く潮湯治場として描かれている。歴史的に人々に親しまれてきた海水浴場だが、ふん便性大腸菌群数は239.0個/100mlとなり、全国で最悪だった。

 ワースト10のうち、愛知県の海水浴場は大野を含めて4カ所がランクインした。7位に知多市の新舞子マリンパーク ブルーサンビーチ(120.0個/100ml)、8位に常滑市のりんくう海浜緑地(112.0個/100ml)、9位に蒲郡市の三河大島東浜(107.0個/100ml)が入った。

 このうち、7位のブルーサンビーチは、1997年にオープンした、名古屋市から最も近い人工の海浜である。長崎県壱岐島から運んできた砂が約400mにわたって敷き詰められている。

 愛知県は人口が全国で4位だ。人が多ければ、生活排水も多くなる。さらに大野、ブルーサンビーチ、りんくう海浜緑地は伊勢湾、三河大島東浜は三河湾のそれぞれ奥に位置している。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(方丈記)といった環境ではない。海流で水が入れ替わりにくい、閉鎖的な海域にあることも不利に働いたと考えられる。

大腸菌ワースト50に20カ所も
ランクインした千葉県

 2位は千葉県館山市の北条で、ふん便性大腸菌群数は139.7個/100mlだった。千葉県の海水浴場は北条を含め、ワースト10に、愛知県と同じく4カ所がランクインした。4位に九十九里町の真亀(133.0個/100ml)、5位に勝浦市の勝浦中央(123.3個/100ml)、10位に館山市の波佐間(88.0個/100ml)が入った。

 房総半島の南端近くにある館山市は、世界的ダイバーである故ジャック・マイヨール氏が別荘を構えた地である。リュック・ベッソン監督の映画「グラン・ブルー」のモデルであり、素潜りで水深100mの壁を破ったことで有名だ。マイヨール氏も愛した館山の海水浴場だが、大腸菌ランキングのワースト10に2カ所も入ってしまい、残念な結果となった。

 続いて、今回のふん便性大腸菌が多い海水浴場ランキングに入った50カ所を、都道府県別に集計してみよう。最も多かったのは千葉県で20カ所を占めた。ちなみに、同県の海水浴場のふん便性大腸菌群数の平均値を計算すると、55.0個/100mlとなった。

 県内の自治体関係者は「生活排水の影響が大きかった。水質の調査時に雨が降った影響もあったかもしれない」と話している。

 ワースト50にランクインした海水浴場または水浴場が2番目に多かったのは奈良県で6カ所(大腸菌群数の平均値は41.0個/100ml)。3番目は愛知県で4カ所(同144.5個/100ml、全国最多)だった。