昨年は、男性から女性にチョコレートを贈る“逆チョコ”が話題となったバレンタインだが、実際のところ女性が期待しているのは“逆チョコ”よりも“友チョコ”をもらうことのようだ。

 江崎グリコが中学生からOLまで500人の女性を対象に行ったアンケートによると、今年のバレンタインにチョコをあげる相手は「彼氏」(32.0%)や「告白したい男性」(11.2%)を大きく上回り「女友達」(74.0%)が圧倒的だった。

 また、去年のバレンタインでチョコを“もらった”かを聞いたところ、全体の8割が「もらった」と回答。もらった相手は女友達(92.2%)で、2位の「母親・姉・妹」(25.7%)を大きく引き離した。ちなみに彼氏からもらったという女性は4.4%にとどまった。中学生(94.7%)、高校生(88.0%)、大学生(81.0%)、OL(54.0%)と、年代があがるにつれて「もらった」率は下がるが、それでも“友チョコ”文化が今やしっかりと根付いていることがわかるだろう。

 

 さらに驚くのが、友チョコを贈る相手の人数。去年、友チョコを贈った女性は平均で1人につき10.6人に友チョコを渡している。友チョコにかける金額こそ、1人あたり438.1円と高額ではないものの、10人に贈れば4,000円以上の出費ということになる。

 年々、盛り上がりを見せる“友チョコ現象”について、帝塚山大学心理福祉学部心理学科の谷口淳一教授は「友だちにチョコをプレゼントすることで好意を持っていることを自然に伝えることができる。ただ、何でもないときのプレゼントは相手に負担を感じさせることもある。クリスマスや誕生日にプレゼントを贈ることが自然であるように、バレンタインという特別な日なら気軽にチョコをあげることができる」と分析。

 バレンタインはすでに「女性が男性にチョコを贈る日」という概念が薄れ、クリスマスと同じように「プレゼントを交換できる日」という認識が強まっているのかもしれない。

 また、谷口教授は「さまざまな方法でコミュニケーションを行うことができる“ケータイ世代”が人間関係を親密にするために、新たに編み出したコミュニケーションツールだともいえるのでは」とも。言ってみれば、現代の女子中高生にとってのお中元・お歳暮のようなもの、と言ったらムードがないだろうか。

(プレスラボ 小川たまか)