新型コロナウイルスの流行で、航空会社は航空券を可能な限り高く売る能力を失った。運賃設定用のコンピューターもしばらくはとまどうかもしれない。飛行機の座席やホテルの客室など保存がきかないモノやサービスをできるだけ高い価格で売る技術――つまり収益管理は、過去のデータによるところが大きい。ビッグデータを使って計算すると、10月第3木曜日の午後2時に出発するシカゴ便にどれくらいの需要があるか、航空会社は驚くほど正確に把握できる。しかし今はそうではない。過去の購入データに感染症の流行は反映されていないからだ。「当てずっぽうでやっているわけではないが、目隠しをしていることは間違いない」。収益管理のソフトウエアを提供するレベニュー・アナリティクス(アトランタ)の最高経営責任者(CEO)のダックス・クロス氏はそう話す。同社が航空会社やホテル、鉄道会社と取り組んでいる問題は2つ、新型コロナ流行中と流行が収束した後の運賃設定だ。