死にたいと思っている人や、自分の悩みが深刻でどうしようなく落ち込んでいる人は、本書を読めば、どんな薬よりもいい薬になる。天寿をまっとうした平櫛や泉の話を読むと、思わず笑ってしまう。人は本来逞しいものなのだ。もう一度、生きてみようという気になるだろう。

生かされている喜び

 旧約聖書に「ヨブ記」という章がある。ここには神に忠実なヨブという人物が登場する。信仰に厚く、豊かで幸せに暮らしていたヨブは、突然、召使いや子どもたちや羊など一切を失ってしまう。神が、ヨブの信仰が本物かどうか試すために、サタンに命じて不幸に陥れたのだ。

 ヨブは、「私は裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう」と言い、神を恨まなかった。

 次にヨブは体中の吹き出物に苦しむ。これも神がサタンに命じて行わせたことだ。妻が、「神を呪って死んだ方がましだ」と言ってもヨブは、「我々は神から幸いを受けるのだから災いをも受けるべきではないか」と答える。

 ヨブは、神を信じているのになぜこんなに不幸になるのだろうか。ヨブは、悩み苦しみ、もだえつつ生きる意味を探り続ける。

 世の中で自殺を選択する人は、ヨブのように真面目で正直な人が多いだろう。なぜ自分は真面目に正直にやって来たのに、こんな不幸な目に会うのだろうか。神も仏もない。まさにヨブの悩みそのものだ。そして結局は不幸の穴から抜け出られなくなり、死を選んでしまう。

 ヨブはどうしたか?

 神は、ヨブに言う。

「からすの子が神に向って呼ばわり、食物がなくて、さまようとき、からすにえさを与える者はだれか」