ミスターコンテストに「女性」
「かっこいい」自分を見せたい

 ジェンダーの問題意識が詰まった大会だということは、7月上旬に公になった。「ミスター慶應SFCコンテスト2020」のファイナリストに選ばれた5人の中の1人が「女性」だったのだ。

「今の一瞬ではない、一生をかけた私だけのかっこよさを見せたいです。」(Twitter一部抜粋)

 この投稿をしたのは、慶應義塾大学政策・メディア研究科に在籍する大学院生・篠原かをりさん(25歳)。彼女は大学院生だが、5年前から作家として活動。最近ではTBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとして世界を駆け巡り、「動物オタク」としての独特なコメントが人気を集めている。

 「基本的に女性として活動していますが、別に性別はどちらでもいいと思っています。かといって、自分を男性とも思わないです。本当に感覚的なものですが、自分自身が比較的男性的なビジュアルが好きで、しっくりくるなと感じ、ミスコンよりもミスターコンテストに出た方が気持ちが落ち着くと思って、ミスターとして出場することにしました」(篠原さん)

 ちなみに、事務所の宣材写真は眼鏡をかけ、ワンピースを着ている。その姿に違和感があるわけではないらしい。

 「特に区分けするつもりはないんですが、TPOに応じて使い分けていきたいと思っています。性別にそんなにこだわりがないというか…見る人がどう見ても構わないとは思っています。ただ、『女性だからこうあるべき、こういう容姿でいるべき』というのは嫌です。また、ミスターコンの期間中は、『女性なのにミスターコンに出ている』ということが魅力になってはいけないと思っているので、あえて男性的な服を着ています」

 篠原さんは前述の通り、既に作家やタレントとして活躍していて、目立ちたいからという目的で出場しているわけではない。それでは、なぜ今年、「ミスターコン」に応募したのか。

 「今回、出生の性別を問わないと聞いて、自分の属性を自分で超えることができるというところに共感して応募しました。今までなかったものが進んだばかりで、誰もが理想通りの形って存在し得ないと思うので、最初の一歩に協力していきたいという気持ちもありました」

 自分の属性を超えたいと思っているのであれば、逆に自分を「ミスター」の枠に当てはめることは嫌ではなかったのだろうか。そして、そもそも「ミスコン・ミスターコン」に対する批判についてどう思っているのか。そのことについて尋ねると、出場すること自体も多様性の一つとして捉えているようだった。

 「ミス・ミスターで区分けしているのはあまり好きではありません。でも、ミス・ミスターに出たい人たちもいるわけで、そういう人たちを私が否定していいほどのロジックを私は持っていません。これまで、女性の魅力は朗らかで、優しくて、美しくて…というイメージを提示されてきたと思うんですが、そういう魅力を目指してきた人もいて、それごと否定するのは避けたいなと思いました。既存のものを否定しない形で新しいものを提示できるという状況だったので、乗っかりやすかったかなと思います。私が思うかっこよさにも多様性があるということを見せたいです」