新型コロナウイルス感染拡大により、ビジネスを取り巻く環境は大きく変わった。その変化は、働く人々の価値観をも大きく揺さぶった。今働く人々はどんな視点で業界や企業を選んでいるのか。データを基に、転職希望者の動向を考察する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
コロナ時代のキャリア
今の業界か、異業界か
厚生労働省によると、6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.11倍。前月から0.09ポイント下がり、6カ月連続での低下となった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、広範囲に及ぶ業界、企業が打撃を受けた。感染拡大防止のための外出自粛により、市場のニーズ、ビジネスの形態も大きく変わりつつある。
また、コロナ禍でテレワークが急速に普及。働き方や、人々の仕事に対する価値観が大きく変わる機会となった。ヤフーとダイヤモンド編集部が共同で行った「Yahoo!ニュース みんなの意見」調査では、「コロナでキャリアを見直したか」という設問に対し、約2万人の回答者のうち、半数近くに当たる44.5%が「キャリアを見直した」と答えた(まだ転職活動などの行動に移していない人を含む)。
では、実際転職を考えている人たちは、次のキャリアをどんな業界で歩みたいと考えているのだろうか。ダイヤモンド編集部では、人材紹介サービス「エン エージェント」を運営するエン・ジャパンの協力を得て、メーカー、金融、流通・小売など11業界に現在所属する人材が「転職先として志望する業界」のデータを基に状況を分析した。
集計期間は2020年3~5月。緊急事態宣言の発令など、コロナの影響が大きくなりつつあったこの時期に転職希望者の志向はどう変化していたのか。前年同期(19年3~5月)のデータも参照しながら解説する。