そもそも災害は戦争ではないため実弾が飛んでくる危険性はない。それなら自衛官は観光バスや新幹線で被災地近くまで行っても構わないはずだ。在日米軍は物資や人を運ぶために民間業者を使う予算が十分あるが、自衛隊ではそれも難しいという。

「自衛隊は余剰のバスやトラックを持っていません。もし、自衛官が自衛隊車両での移動に不満を漏らせば、『今まで自衛官たちが全員やってきたことなのに何でお前は耐えられないんだ!』と上官から叱責されるでしょう。さらにそのことで他の自衛官たちも連帯責任をとらされてしまうと、『お前のせいで俺たちまで巻き添えだ!』といじめに近い構造が発生する可能性もある。かつての日本軍のような精神論的な考え方が今も自衛隊には根強く残っているのでしょう」

 被災地、あるいはそこへ向かう道中のSAやPAで休憩をとる場合も、彼らはひっそりと休まなければならない。

「自衛隊など制服公務員は、自分たちが休憩をとっている姿を国民に見られたくないと思っています。なぜなら、制服を着たまま飲食していたり、休憩中についウトウトしていると、その姿を写真に撮られ『サボっている』『職務に専念していない』とクレームが入る可能性もあるからです。そのため、国民の命を守ってくれている自衛官たちは、人目につかない場所で隠れながら休憩や食事をとらざるを得ないのです」

 民間企業の場合、労働基準法第34条では、8時間を超える労働で最低1時間の休憩をとることが義務づけられており、バスの運転手は連続2時間以上の運転で20分以上の休憩が必要とされている。基本的に公務員は労働基準法の対象外なため、労働争議は認められていないが、事実上の組合(職員団体)は存在する。しかし、自衛隊員や警察官、消防士などはそもそも組合を結成することもできないのだ。