国民民主党と立憲民主党の合流が決まり、150人規模の野党が誕生する。しかし、これまでも繰り返されてきた野党合流に期待はない。中央集権体制・東京一極集中が崩壊し始め、大阪をはじめ地方自治体が迅速かつ実行力をもって政策を進める中、新たな希望になり得るのは、玉木雄一郎氏が結成する「玉木新党」かもしれない。今後どのような動きをするのか注目だ。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
繰り返される野党合流
失敗を乗り越える展望なし
国民民主党と立憲民主党の合流が決定した。立憲民主党の衆参両院の国会議員89人に、62人いる国民民主党の大半と、野田佳彦前首相、岡田克也元外相がそれぞれ率いる無所属議員のグループの合計約20人が合流する。2017年に分裂した民進党以来となる150人規模の野党が誕生することになった。
しかし、玉木雄一郎国民民主党代表は合流新党には参加せず、別に「玉木新党」を結成する意向を示した。玉木氏は「枝野幸男立憲民主党代表との党首会談が実現せず、基本政策について一致が得られなかった」「理念や政策が異なる人が集い、無理やり党を作っても、過去の反省を生かせない」と、合流しない理由を説明した。そして、「政策提案型の改革中道政党は不可欠だ」と訴えた。
また、前原誠司元外相や山尾志桜里氏らも合流新党に参加しないと表明した。前原氏は、「共産党と選挙協力する政党には合流できない。『非自民・非共産』でやってきた自分自身の信条にもとる」「今後もリベラル保守の勢力結集のために頑張りたい」と語った。
筆者は、国民民主党と立憲民主党の合流新党には、まったく関心がない。「古ぼけた化石のような左翼ゾンビ政党」がまたできたなと思うだけだ。野党は、いつまでこんな愚行を繰り返しているのだろうか。
確かに、野党の塊が大きくなれば、以前より自民党と互角に戦える可能性が高まる。「政権交代」という好機も訪れるかと期待するかもしれない。だが、それが何なのだろう。
相変わらず、安全保障など基本政策が一致しない人たちの「寄り合い所帯」である。政権を担当したときでさえ、その不一致を乗り越えて、政権を運営していこうという責任感がまったくなく、分裂騒ぎを起こして政権が自壊した(本連載第132回)。これに対する反省がまったくない。過去の失敗を乗り越える展望もない。