小野和俊

クレディセゾン 常務執行役員CTO
1976年生まれ。小学4年生からプログラミングを開始。1999年、大学卒業後、サン・マイクロシステムズ株式会社に入社。研修後、米国本社にてJavaやXMLでの開発を経験する。2000年にベンチャー企業である株式会社アプレッソの代表取締役に就任。エンジェル投資家から7億円の出資を得て、データ連携ソフト「DataSpider」を開発し、SOFTICより年間最優秀ソフトウェア賞を受賞する。2004年、ITを駆使した独創的なアイデア・技術の育成を目的とした経済産業省のとり組み、「未踏ソフトウェア創造事業」にて「Galapagos」の共同開発者となる。2008年より3年間、九州大学大学院「高度ICTリーダーシップ特論」の非常勤講師を務める。2013年、「DataSpider」の代理店であり、
データ連携ソフトを自社に持ちたいと考えていたセゾン情報システムズから資本業務提携の提案を受け、合意する。2015年にセゾン情報システムズの取締役 CTOに就任。当初はベンチャー企業と歴史ある日本企業の文化の違いに戸惑うも、両者のよさを共存させ、互いの長所がもう一方の欠点を補っていく「バイモーダル戦略」により企業改革を実現。2019年にクレディセゾンの取締役CTOとなり、2020年3月より現職。
「誰のための仕事かわからない、無駄な仕事」を「誰のどんな喜びに寄与するのかがわかる、意味のある仕事」に転換することをモットーにデジタル改革にとり組んでいる。

ITベンチャーと老舗金融企業で学んだこと

 はじめまして。小野和俊と申します。

 私は大学卒業後にサン・マイクロシステムズに入社し、その1年半後にアプレッソという会社を立ち上げました。データ連携ソフト「DataSpider」の開発を指揮しながら、13年間、代表を務めました。

 2013年、DataSpiderの代理店であり、データ連携ソフトを自社に持ちたいと考えていたセゾン情報システムズから資本業務提携の提案を受け、アプレッソはセゾン情報システムズのグループ会社となりました。

 それを契機に、私はセゾン情報システムズのCTO(最高技術責任者)を務めることに。2019年3月からクレディセゾンのCTOに就任し、金融業界にデジタルの力を活かすべく、日々奮闘しています。

 ITベンチャーの代表を10年以上務め、現在は老舗金融企業のCTO。このキャリアを通して、それぞれがどんな特徴を持ち、そこで働く人がどんなことに悩み、どんなふうに仕事をしているのかを見てきました。その中で、ベンチャーや大企業問わず、どんな仕事にも共通する「仕事を合理化するポイント」があることに気づきます。逆にいえば、共通する「無駄」があるのです。

 この度出版した拙著『その仕事、全部やめてみよう』は、具体的なエピソードを交えながら、仕事の無駄を排除し、生産性を高めるための「仕事の進め方・考え方」を解説するものです。

 仕事をしていくうえで大切なのは、よいものを作り上げて世の中に届け、企業を成長させること。そして、みなが生き生きと仕事をして高く評価され、幸福だと感じることです。そのために必要なことは、一見まったく異なるように見えるITベンチャーでも歴史ある日本の大企業でも、根本のところではほとんど変わりません。

 本書は、そんな「仕事の本質」に迫ったつもりです。気になった方はぜひお手に取ってみていただけるとうれしいです。

本書の主な内容

はじめに ITベンチャーと老舗金融企業で学んだこと

第1章 「谷」を埋めるな、「山」を作れ! ――市場で勝つ
・王者マイクロソフトへの挑戦――「1%の本質」をつかむ
・業務命令でビットコインを配布した日
・「山」を作るプレゼン、3つのコツ

第2章 「ハンマーと釘」の世界の落とし穴 ――正しく実行する
・「よいアイデア」と「ダメなアイデア」の違い
・PDCAではなく、DCAPで動くべき3つの領域
・稟議書の呪縛から逃れる「2つのタイミング」

第3章 「ラストマン戦略」で頭角をあらわせ ――自分を磨く
・「遊び人」が賢者になる日
・「臆病者」の私が24歳で起業した理由
・戦略的に「見せ場」を作る

第4章 「To Stopリスト」をいますぐ作る ――生産性を上げる
・人は「見られる」と生産性が上がる
・「選択肢は2つある。ビールを飲むか、ワインを飲むかだ」
・「一番近く」と「一番遠く」だけを見る

第5章 職場は「猛獣園」である ――チームで戦う
・人を傷つけずに、問題点を指摘する――「ひよコード」
・「俺がやったほうが早い病」の治し方
・「いい人が採用できない」に効く2つのアプローチ

おわりに 山田先生の教え

【著者インタビューの抜粋動画】