海上自衛隊は定員不足の艦船もあるなど、ぎりぎりの状態だから、それを補うためにイージス・システムを陸上に置こう、ということだったはずだ。イージス艦を南西方面に振り向ける重要性は、陸上イージスのブースターの落下問題がどうであれ、変わっていない。

 陸上イージスを配備しないのなら、その分のミサイル防衛をどうするのかという議論が必要であって、いきなり敵基地攻撃能力を持つという話が出てくるのは論理的な飛躍がある。

石破 茂・元自民党幹事長
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発射装置をレーダーと分離
艦船や海上浮体に据える案もある

――どういう対応が必要だと考えますか。

 予定されていた形で陸上イージスが配備されなくなったとしても、それ自体が抑止力の低下を招くことのないよう、ミサイル防衛の能力を強化することが必要だ。

 レーダーと迎撃ミサイル発射装置を離れた位置に配備する、あるいは古い艦船や海上浮体を活用するなどの選択肢がまず考えられる。

 この2年ほどで、北朝鮮などのミサイル技術は格段に上がった。新たなミサイル脅威にどう備えるかについても早急に対応が必要だ。ミサイル防衛は、最初の一撃を防ぐという意味で非常に重要だ。

 陸上イージスの配備が停止されたのは、迎撃ミサイルのブースターの落下地点をコントロールできないからという理由だったが、迎撃の一連の動作の中では、何かが地上に落ちることは自明だ。そもそもミサイルの落下が懸念される地域では、事前に住民にシェルターなどに避難してもらうことが大前提だ。

 国民の人口に対してのシェルターの整備率は、北欧やスイスで100%、シンガポールで80%なのに、日本はたった0.02%だ。東京などの都心には地下鉄網や地下道があるから、そこに食糧などを備蓄できるようにすれば、費用はそうかからない。

 このように、まずは今できる方法で防御能力を高める努力が必要だ。