ドS看守による壮絶いびり、受刑者同士の酒盛り、ステーキ食べ放題、たばこ吸い放題の外部作業、受刑者ヒエラルキーの頂点に上り詰めた男の特権的生活……。かつて広域窃盗団の「情報屋」として働き、懲役7年の刑に服した元受刑者が、刑務所暮らしのヤバ過ぎる実態を告白する。(ライター 根本直樹)
人権蹂躙は当たり前
ドS看守の壮絶いびり
懲役7年の刑を言い渡された前田省吾(48歳)は初犯だった。
「そりゃ若い頃は多少やんちゃもしたけど、大人になってからは真面目に働いてきました。もちろん前科前歴はなし。そんな僕が懲役7年の刑ですよ。目の前が真っ暗になりました」
刑の確定後は栃木県にある黒羽刑務所に収監された。今から10年前のことである。
「刑務所に入ってまず驚いたのは、一部看守たちの横暴すぎる言動と異常者のようなヤバい目つき。彼らの漫画のようなドSっぷりには、あぜんとしました。面倒な刑務官にロックオンされたら最後、作業中にちょっとよそ見をした程度で、『このハゲ、デブ、チビ、アホ』などと差別用語を吐かれ、『殺すぞ、てめー』と恫喝され、懲罰の独居房行きが確定。言い訳などしても無駄。いびって、罵倒して、いじめるのが彼らの目的、生きがいなんですから」
前田によれば、刑務所という閉鎖空間は、ドSの刑務官がわが物顔で支配する治外法権の世界だったという。