中国人がオートクチュールを欲しがらなくなったら何が起こるか。今は想像し難いことに思えるが、高級品業界が一国の人々をあてにする傾向を強めていることは、「エルメス」や「グッチ」を傘下に擁する仏高級ブランドグループ、ケリングなどの株式を保有するリスクを高めている。多くのデザイナーブランドで既に偏りが見られていたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はそれを一段と悪化させた。高額な服やハンドバッグへの支出は中国で急回復しているものの、他国では依然として低迷している。コンサルティング会社ベインの推計によると、2020年代半ばまでに、世界の高級品支出の半分近くを中国人が占める見通しだ。19年にはその比率は35%だった。