ジョー・バイデン前副大統領Photo:Pool/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター

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 政治に関する記述ではスポーツや軍事の暗喩(あんゆ)が多用されているが、目下の状況をぴたりと表す軍事の例えがある。いかなる戦いでも「戦略的高地」を奪取した軍が優位になるというものだ。2020年の高地を巡る闘いが今まさに起きている。その行方は決定打となりそうだ。

 ジョー・バイデン前副大統領と民主党にとっては、その高地とは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)であり、長引く危機がドナルド・トランプ氏の大統領としての地位と指導力のまずさを浮き彫りにしていると主張している。トランプ氏がパンデミックの抑制と阻止に失敗し、責任逃れをしていることは、「トランプ版米国」に住む危険性を示しているという。

 トランプ氏と共和党にとっての高地とは、米国の都市に広がる混乱だ。全米で続くこうしたトラウマ(心的外傷)は国内の大都市で幅をきかせている民主党の問題を象徴し、ジョー・バイデン氏が大統領になった場合には、国家の問題になると論じている。バイデン氏が党大会で市街地の暴力行為を強く非難することを怠ったのは、「バイデン版」の米国が安全ではないことを証明するものだという。