由緒ある日本の5大商社は明らかに割安銘柄として際立っていたものの、これまで注目を浴びることはなかった。そこに妙味を見いだしたのが、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏だ。
バフェット氏は8月30日(日本時間31日)、90歳の誕生日に伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の株式をそれぞれ5%取得したと明らかにした。複合企業(コングロマリット)である5社はいずれも、伝説のバリュー投資家であるバフェット氏のキャリアよりも長い歴史を持つ。
日本の投資家やアナリストの間では、今回の動きはバフェット流投資の典型例だとの指摘が出ている。割安かつ配当が手厚く、一般に考えられているよりリスクが控えめの銘柄に照準を定める手法だ。
バフェット氏は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以降、総じて沈黙を保っていた。大きな動きとしては、7月初旬に米エネルギー大手ドミニオン・エナジーの中流事業を債務を含め97億ドル(約1兆円)で買収したくらいだ。
バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイはコロナ流行を受けて、保有していた航空株を処分したほか、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースなど、金融株の大半も売却した。ただ、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)については、引き続き持ち株を積み増している。