前回の米大統領選挙で激戦地となったこの州の中でも、ケノーシャ郡ほど接戦になった地域は他にない。ここで先週発生した警官による黒人銃撃事件とその後の抗議行動や略奪、殺人を含む暴力行為は、人種問題と公共の安全を今回の大統領選の争点へと引き上げた。ウィスコンシン州南東部一帯では、焼け焦げたり壊されたりした車、店舗、政府施設の映像が、今も地元ニュースで大きく取り上げられている。ここは、11月の大統領選において各州で勝利を収めるために重要な要素となる、郊外の有権者が多い地域だ。ケノーシャ郡郊外在住のスーザン・ネルソンさん(67)は、略奪を防ぐためにベニヤ板でドアや窓を補強された雑貨店に入ろうとしていた。「旗を燃やしたり、建物に火を付けたりする人々を目にして、気分が悪くなった。まるで戦場のようだった」と語った。