アメリカも国土が広いので、女性の住所はわかりませんが、ネバダ州やニューメキシコ州のような砂漠の乾燥地域に住んでおり、空調のないガレージなどに置かれていたのだとすれば、そのままミイラのような状態で保存されたのではないかということは、想像に難くないと思われます。

 投稿した女性も、それがただ面白かったので投稿したように思えますが、SNSで拡散すると、「マクドナルドのハンバーガーは腐らない。何かでコーティングされているんじゃないか」といった都市伝説も、一緒に拡散することになります。よって、当初は楽しい投稿でも、マクドナルド側にとってはSNS時代にこれを放置すると、思わぬ誤解が広がって経営にマイナスの影響が起きることが予想されます。

なかなかよく考えられた
SNS時代のコミュニケーション

 その観点からは、冒頭で紹介した「適切な環境下であれば、私たちのバーガーは他の多くの食べ物と同じで、腐ることがあります」というものは、なかなかよく考えられたSNS時代の回答文だと言えるのです。その最大の理由は、あのTikTokの動画と同じように拡散しやすい、言い換えればツッコミやすい回答になっているということです。

 この声明文を読んだネット民は、それをリツイートしながら「マクドナルドのバーガーは腐るんだ!」「適切な環境下って何?」「あれは不適切な環境下の話なのか?」などといろいろ突っ込むことができます。突っ込めるから、話題が拡散するのです。

 ちなみにツイッターというSNSは、ボケとツッコミでいえば、圧倒的にツッコミ型のメディアです。私は経営評論家としてはボケの立ち位置なので、ツイッターは苦手なのですが、ツッコミの立ち位置の経営評論家は、いつもいろいろなニュースに反応しては突っ込んで、ツイートをバズらせています。

 これと同じ原理で、反論を拡散させたいと思ったら、ツッコミどころが満載で満腹にならない程度の公式回答を載せ、インフルエンサーのツッコミを待つという広報戦略は、この時代に「あり」なのです。お堅い公式ウェブサイトが都市伝説に対して不十分な反応をするという対処法自体が新しいというわけで、企業の顧客対応においてもSNSを使った新しいコミュニケーションが試行されているのだ、というお話でした。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)