自分の価値観の枠組みが見えると
コミュニケーションスキルが上がる

 また、自分の商談時の考え方や話し方の癖、自分が持つ価値観などが見えるようになる。それらが見えるようになると、他の人がその人それぞれの考え方や価値観の枠組みを持っていることにも気付く。それに気付くと、例えば商談が進まないときには、この「価値観の枠組みが自分と相手では異なっているから、相互理解が進まず、商談も進まない」ということも分かるようになる。これは上司と部下の面談等でも役立つ。これもコミュニケーションスキルの一つだ。

 このように、営業スキルやビジネススキルとは単に調べてみて、教わってみて、使ってみておしまいというものではない。私たちビジネスパーソンとしては、使い倒して、結果を出し続けるための武器である。だから、さまざまなスキルを知っていて、使えるようになっていることが結果を出すための近道の一つでもある。

単なるノウハウコレクターになるな!
多様なスキルを使おう

 これは、言われてみれば極めて当たり前のことだ。ノウハウコレクターという言葉があるように、さまざまなスキルやノウハウを熱心に学ぶ人もいる。だが、実際には“必殺技”が少ない営業は多く、「過去に成功したスキルだけを繰り返し使っている」人が多い。これはノウハウコレクターも同様で、「さまざまなスキルを知っているものの、実際に仕事に使っているスキルは数個」という人もいる。

 ノウハウコレクターは、向上心が少しは見えるのでまだ良いが、もっと極端な例を挙げれば「成功する方法だけ教えてください。他はどうでもいいです」と私に尋ねてくる人もいる。

 確かに過去に成功したスキルや他人が成功したスキルをまねるやり方は、成功確率を高めるには良いかもしれない。しかし、新しい取引先を訪問した際に、果たしてうまくいくのかは分からない。なぜなら、過去にとあるスキルが通用した商談相手と、今目の前にいる商談相手とでは背景や思考、価値観の枠組みが違うからだ。

 話雑談のスキルが以前の商談相手に有効だったからといって、それが全ての商談相手に通用するかは、やってみなければ分からない。目の前の商談相手はもしかすると多忙で、商談を早く終わらせたいかもしれない。そのような場面では、逆に雑談の時間は不要だ。このように、過去に成功したスキルだけを使い続けるのは、結果的に営業の効率や生産性を落としかねない。

 だから、さまざまなやり方やスキルを学び、実際に仕事で使ってみて、結果が出るかどうかを評価し、自分の仕事や商談相手に効果があると思われるものを複数用意することをおすすめする。武器はたくさんあった方がいいのだ。