接待という言葉が用いられるようになった理由は、端的にいえば風俗営業法(風営法)の「接待飲食等営業」に分類される「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を指したかったのだろう。

 しかし、ここにバーが入っているから話はさらにややこしくなった。店によっては、バーと個人経営の赤提灯居酒屋との違いがそこまでなかったりもする。どちらの業態でもウイスキーやワインなどの酒を扱っている店はあるし、カウンターの中に立っている人も老若男女さまざまで、店主やスタッフと常連客が会話を楽しむのはよくある光景だ。

 店を利用する客からすれば、酒場の業種を分類すること自体がナンセンスであり、そもそも軽いノリが売りのガールズバーだろうが、職人気質な店主が構える個人経営の居酒屋だろうが、感染リスクはそこまで変わらない。国民の多くがそのことを理解しているため、居酒屋店主の中には今後も客の減少は止まらず、居酒屋敬遠ムードが続くと危惧している人は多いのだ。

 そこで今回は、コロナ問題で壊滅的ダメージを受けている個人経営の居酒屋の店主2人に、その惨状を聞いた。

創業40年の老舗が売り上げ半減
情報もほとんど入ってこない

 最初に紹介するのは、東京都の西武新宿線沿線で、創業40年になる居酒屋を一人で切り盛りする店主Aさん(74歳)。白髪短髪のいわゆる「頑固オヤジ」タイプだ。

 Aさんの店は、最寄りの駅から徒歩15分の住宅街の中にポツンとあるため、一見客が入ってくることはほぼ皆無。ハイボール1杯の値段は300円で、客単価は2000円以下だ。平常時の毎月の売り上げは40万~50万円で、5~6坪規模の店の家賃は月額8万円。そこから材料費や光熱費などを引いて、毎月の利益は20万円ほどだ。

「うちの店の営業時間は通常17~26時だが、緊急事態宣言(ステップ1)のときは20時までしか開けられなかったから大変だった。ご近所の手前、時短営業するしかなかったが、3時間しか営業できないんじゃ全然商売にならない。昼から店を開ければいいなんて簡単にいうが、そんな時間に誰が飲みに来るってんだ。それに、うちの店は9割以上が高齢の常連客だから、コロナに感染したら危ないってことで半分ぐらい来なくなった。売り上げも半減して、家賃代を払うのがやっとだったよ」