ウィズコロナの現在、アフターコロナの未来…企業がダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進め、個人がダイバーシティ社会を生きるにあたっては関連の法制度を知ることが大切だ。このシリーズでは、働き方や暮らし方に影響する3つの法律を、「ここだけは押さえておきたい“ツボ”」とともに解説する。第1回は「障害者雇用促進法」。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部) 

*本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティ マガジン 「Oriijin(オリイジン)2020」の特集「D&Iな暮らし方・働き方に役立つ法律のツボを知っておこう!」を加筆修正したものです。

いま知っておくべき「障害者雇用率(法定雇用率)」

 障がい者の就労の安定と雇用の確保を目的とした「障害者雇用促進法」は、対象となる障がい者の範囲が拡大されたり、法定雇用率が引き上げになったりと、障がい者がより働きやすい社会の実現を目指して、何度も改正が重ねられています。

 事業主(企業・団体)にとって、「障害者雇用促進法」の中核というべき大切なものが第43条第1項で定められた「障害者雇用率(法定雇用率)」で、これは企業の常用労働者のうち、障がい者をどのくらいの割合で雇う必要があるかを定めた基準です。

 2018年には、民間企業の法定雇用率が2.2%に引き上げられ、障がい者を雇用すべき事業主の範囲が従業員50人以上から45.5人に変更となりました。さらに、先月末(2020年8月末)に行われた労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)・障害者雇用分科会において、来年2021年3月1日から、0.1%の引上げが了承され、厚生労働省によって決定されました(民間企業=2.2%→2.3%、国・地方自治体=2.5%→2.6%、都道府県の教育委員会=2.4%→2.5%)。

 法定雇用率を満たす企業には、調整金として1人超過当たり月額2万7000円(常用労働者数が100人超の企業の場合。100人以下の場合は報奨金として1人超過当たり2万1000円)が支給されます。一方、法定雇用率未達成の企業は、不足人数1人につき月額5万円(常用労働者数が100人超の企業の場合)を納付する必要があります。この納付金は、障がい者雇用を促進するための調整金や報奨金の財源となっています。

 障がい者雇用にあたっては、事業主が利用できる助成金も多くあります。障がい者を雇い入れた場合に利用できるもの、施設等の整備や適切な雇用管理の措置を行った場合に利用できるものといった種類があり、その条件もさまざまです。さらに東京都の中小企業障害者雇用支援助成金など、各自治体が独自の助成や支援制度を設けている場合もあります。