――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニストドナルド・トランプ大統領の外交政策について専門家が抱く最大の懸念の1つは、ドイツのような主要同盟国を遠ざけることで、米国から欧州を引き離す機会を中国やロシアに提供してしまうのではないかというものだ。しかし、2016年以降、大西洋を挟む国々の間で緊張が高まり、欧州主要国の世論が同大統領に真っ向から反対する方向に転じる中、ロシアおよび中国がこの機会を有効活用していることを示す兆候はほとんどない。それどころか、中国とロシアは、米国と欧州の関係を絶とうとしているのではなく、強めているように見える。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の主な政敵であるアレクセイ・ナワリヌイ氏が毒を盛られた事件はドイツ国民を激怒させ、アンゲラ・メルケル首相は再び、建設をめぐり意見の対立する独ロの天然ガスパイプライン計画「ノルド・ストリーム2」の中止を求める圧力にさらされている。ロシア政府は明らかに、苦境に立たされているベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領への支持を強める構えだ。欧州の人々がルカシェンコ氏の支配に反対する平和的な抗議行動を応援しているにもかかわらずだ。
【オピニオン】ロシアと中国が打ち込む鈍いくさび
中ロ政府は米国とドイツを引き離せず、むしろ近づけている
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