テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。

「15分座っていられるか」心配だった子に、学習習慣がついた理由Photo: Adobe Stock

今回も「朝15分学習法」を実際に私が教えた生徒さんの事例を交えながら、ご紹介していきましょう。
 ※名前はすべて、仮名です。

「15分座っていられるか」心配されていた、5歳・太陽さんの場合

 太陽さんはいつも元気いっぱいな、二人兄弟のお兄ちゃんです。幼稚園が終わっても、園庭を走り回ってなかなか帰ろうとしないほど、遊ぶことが大好きで体力が有り余っている5歳児です。

「小学校に入って勉強についていけなくなったら困るから」と私の教室に来られたのですが、当初お母さんは不安そうでした。「うちの子にできるかしら…」と。その横で、太陽さんはじっとしていられず、「勉強なんて嫌いやー!」と言いながら、そわそわ、ゆらゆら。

 そこで私は、すぐに朝学習を始めることを勧めました。太陽さんには学習の習慣がついていないので、話し合って量は最小限に。初めは算数の学習プリント半ページ分である「毎朝10問」を目標に置きました。

 お母さんは「15分座っていられるか」と心配されていましたが、私は、15分にこだわらず、予定の学習が終われば学習は終了するようアドバイスしました。そして、私が提案した「朝15分学習法」を完コピ。太陽さんを起こしてトイレに行かせ、うがいをしたら食卓に座らせ、水を1杯飲ませてプリントをさせる…を毎朝徹底しました。

 すると、しばらくたったころ太陽さんのほうから自発的に「今日のプリントは何?」と言うようになりました。習慣化に成功し、「朝学習をするのが当たり前」の状態になったのです。そこから量も少しずつ増やし、15分間でプリント1枚の計算ができるように。

 お兄ちゃんに習慣がつけば、しめたものです。2歳離れた弟も、お兄ちゃんと一緒に毎朝食卓に座り、塗り絵などをするようになりました。

 太陽さんが朝学習を始めて、約1年。今では兄弟そろってしっかり朝学習できるようになりました。「量をこなすよりも、まずは習慣にすることが大切」と教えられた事例です。

 前回と今回ご紹介した3人の生徒さんのように、私は教室に来られた親御さん全員に朝学習をお勧めしています。朝学習は、初めは親の努力が必要不可欠なので、お勧めしたご家庭すべてが実践しているわけではありません。しかし、朝学習を取り入れ、実践できた生徒さんは確実に成績が伸び、継続すればするほど優秀さも際立ってくるという特徴があります。