テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。

今回も「朝15分学習法」を実際に私が教えた生徒さんの事例を交えながら、ご紹介していきましょう。
 ※名前はすべて、仮名です。

ひらがなことばカードで、2歳から朝学習を始めた
蘭丸(らんまる)さん、徳丸(とくまる)さん兄弟の場合

 2歳から6年間、朝学習を継続している蘭丸さん。お母さんが朝学習に前向きだったので、年齢に合わせて学習量を微調整しながら続けてきました。

 まずはひらがなことばのインプットから始めたところ、3歳になる前に字が書けるように。足し算を始めたのは3歳の12月で、5歳にはもう分数の学習に入りました。そして小学2年生のころには、中3レベルの数学であるルート問題をすらすら解けるようになりました。

 弟の徳丸さんも、2歳で朝学習デビュー。まず行ったのは、ひらがなことばカードによる言葉のインプットと、塗り絵と迷路です。

「ひらがなことばカード」とは、イラストとそれを示すことばが記されたカード。お母さんがカードを見せながら繰り返し読み上げることで、子どもの頭の中にインプットされ、ひらがなをことばとして理解するようになります。

 塗り絵と迷路は、筆圧と運筆力をつけるのに役立ちます。学力は、「頭脳」と「作業」で成り立っています。計算するにしても、漢字のドリルをやるにしても、「書く力」が必要。頭でわかっていても、「書く力」がないと、書くこと自体に負担を感じて学習したくなくなるのです。子どもを賢くしたいと思ったら、作業(=書くこと)がラクラクできる状態にしてあげることが重要。そうすれば、もっと難しいことにチャレンジしてみようという意欲が湧いてきます。

 徳丸さんの場合は、すぐに「らせん」の迷路からはみ出さずに書けるようになり、幼児にとっては難しい「×」をスムーズになぞれるようになりました。大人から見れば簡単に書ける文字のような気がしますが、幼児は「×は2本の線が重なっている」とは認識せず、同じところを何度もなぞってしまうのです。「×」をクリアしたことで、1日につきひらがな1文字をなぞって書く練習を始めました。

 朝学習を始めて半年たったころ、徳丸さんは二語文(わたしは・食べる、など)、三語文(あかい・はなが・さく、など)がすらすら読めるようになりました。

 次のステップは、「見写し書き」。ひらがなをなぞるのではなく、見ながら書き写す練習を始めました。

 2、3歳で文字を書く練習をさせると、筆圧が弱いので手首が浮き、ふにゃふにゃとした字になりがちですが、そっと手の甲を押してあげると自然に手首が机につき、力が入りやすくなります。また、文字の「始点」と「終点」を意識させるのも大切。始点を意識して書き始め、ぎゅーっと力を入れて線を引き、最後はピタッと止めるように書くことを教えます。子どもには「ギューピタ!と書こうね」と言うと、わかりやすいようです。

 その後、徳丸さんは算数の学習もスタート。お母さんはまず1から9までの1ケタ足し算カードで数字を覚えさせ、その後足し算のプリントをさせたそうですが、すぐには解けなかったそうです。足し算カードはプリント学習と並行させたほうが効果がありそうです。

 ただ、朝学習が習慣化したことで、3歳で50まで数えられるようになり、10までの数字を書けるようになりました。

 5歳になった今は、小学5年生レベルの学習に取り組めるほどになりました。朝学習の習慣がきちんとついているため、ほかにお稽古を増やしても学習量が減ることはありません。これが2人の学習能力の伸びにつながっています。

イラスト/荒木慎司