ゴールドマン時代に関わった超大型グローバル案件の一コマです。ある日系企業の売却にあたってのM&Aアドバイザリープロジェクト。私は、プロジェクトチームの若手として、当該企業の買収に興味を示す買い手候補企業リストの作成を担当していました。この期に本格的な日本参入に興味を持ちそうな海外企業名を挙げ、ヨーロッパ、北米、アジアの地域ごとに整理をし、一般に業界でロングリストと呼ばれる初期的な買い手候補先リストの叩たたき台を用意しました。

 そして、それらの買い手候補企業と太いパイプを持つ、社内の海外オフィスに籍を置くシニアのバンカーに一斉にメールを送ったのです。ちなみに、「バンカー」とはインベストメント・バンカーのことで、日本語では「投資銀行家」と訳されます。特に米英では、バンカーというと通常の銀行マンというより投資銀行家を指すことが多いです。

 ゴールドマンで、このようなレスポンスの速さは日常茶飯事です。多忙を極め、複数の案件が錯綜(さくそう)し、海外出張や重要会議でスケジュールがぎっしり詰まったトップバンカーであるほどレスポンスの速さは際立っています。その理由は3つあります。

・そもそも効率仕事術を身に着けている人が結果的に出世している
・レスポンスの速い人ほど一流のプロフェッショナルという共通認識がある
・レスポンスの速い仲間を正当に評価する社内の人事システムがある

 一日に受信するメールが100通で一定と仮定しましょう。返信をすぐにしようと、3日後にしようと、受信するメール数は変わらないとも仮定します。そうだとすれば、すぐに返信した方が相手にとっては都合が良いし、自分の目の前からも一つ仕事を片付けることができます。

 結果、自分に対する評価も上がります。メールをすぐに返信しない理由は、実は見当たらないのです。