「高級ホテル建設」が
カオスな状況を改善できる可能性

 では、この「負の連鎖」を断ち切るにはどうすべきかというところで出てきたのが、「高級ホテル路線」である。

「観光公害」の解決策の1つに「ゾーニング」という考え方がある。観光客と地域の人々が行動する場所を重ならないように誘導したり、住宅エリアと観光客の宿泊エリアをなるべく離したりすることで、衝突を避けるのだ。わかりやすいのが、ハワイのワイキキビーチだ。
 
 ご存知のように、ワイキキにはロイヤルハワイアン、アウトリガーなどのホテルが立ち並ぶが、ハワイ住民が何千人も入居するような巨大マンションが乱立しているわけではない。地元の人々が多く暮らす地域はワイキキビーチから離れており、「住民エリア」と「観光エリア」が明確にゾーニングされているのだ。

 しかし、日本はそうではない。ビジネスホテルがいたるところに建てられているように、観光客と住民の行動圏も生活圏も、同じ地域内でごちゃまぜになっているのだ。これでトラブルが多発しない方がおかしい。

 ここまで言えば、もうおわかりだろう。「高級ホテル路線」は、そんなカオスな状況をわずかではあるが改善できる。このようなホテルに宿泊するセレブ観光客は、路線バスに乗ったり、マツモトキヨシで大量に化粧品を買い込んだりすることも少ない。地元民の憩いの場であるような食堂や居酒屋に大人数で押しかけることもしない。日本人の行動とバッティングしないのだ。

 だが、何よりも大きいのは「カネを落とす」ということだ。結局、「公害」を解決するのには地域住民への迷惑料を支払うなど、お金が必要になってくる。そのような意味では、「観光公害」を解決させるためにも、外国人観光客からいかにカネを落とさせるか、というところが大きなポイントになるのだ。