結論を先取りすると、人を年齢で区別して扱わない方がいいし、半分期待も込めて言うと、今後「脱年齢の時代」に進むのではないか。

年齢差別の観点からも難しい課題
「定年」を廃止すると何が起きるか?

 政治の世界だけではなく、ビジネスの世界でも、年齢で人を区別することについて、改めて考えておくべきだろう。

 人事処遇にあって「年次」の影響は、成果主義やそれ以前のビジネス環境の厳しさによって低下しつつある。それ自体の合理性を考えると、この傾向は今後も続くだろう。「年齢差別」の観点で大きな問題となるのは「定年」だ。

 同じ給料で同じ働きができる65歳と64歳の社員がいたときに、65歳の社員が問答無用で解雇される制度は、年齢による差別だ。加えて、65歳の社員の方がより有能な人であるとした場合、差別であると同時に、会社側にとっての損失でもある。

 また、会社側では、たとえば65歳までの雇用義務の強化といった政策には、人件費増、人事の停滞による若手の士気低下などの弊害をもたらす恐れを感じているはずだ。実際、筆者は、ある経営者から、厚労省の方針について、「とんでもないことをしてくれるよ」という愚痴を聞いたことがある。

 公的な制度との兼ね合いがあるから、自在に制度を変えられるわけではないが、前向きで、合理的で、かつ非差別的なのは、「定年」を廃止することだろう。

 外資系の企業では、社員の年齢を個人情報として一切他人にわからないように扱う会社があるし、国によっては、採用の際に年齢を問うことを差別として禁止するケースがある。「定年」の廃止は、決して突飛な考え方ではない。

 たとえば、「定年は廃止します。当社は、何歳になっても有能な社員は雇い続けます」と宣言して、定年を廃止することができたら、何が起こるだろうか。