星条旗とドルトランプ大統領の支持率回復に伴い、接戦の可能性が高まる米国大統領選。為替はどう動くのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

米大統領選が接戦となる可能性
結果判明が遅延するリスク

 11月3日投票の米大統領選は、ここ数ヵ月、ほとんどの世論調査で民主党のバイデン候補の優位が続いていたが、ここへ来てトランプ大統領の支持率回復に伴い、接戦となる可能性が高まっている。

 たとえば、7月に41.1%へ低下したトランプ大統領の支持率は、9月に一時50%へ回復した。新型コロナウイルスや黒人暴行死事件におけるトランプ政権の対応への不満がバイデン候補の追い風となった一方、失業率の低下などにみられる米国経済の回復傾向と米株価の上昇傾向が、トランプ大統領の追い風となったようだ。

 米大統領選は、両候補の各州における選挙人獲得数が、総数538人の過半数にあたる270人を超えることで勝敗が決まるが、得票率の差が小さい場合、再集計が実施され、最終結果が判明するまで数日、あるいは数週間かかるリスクが指摘されている。特に今回は、新型コロナウイルス感染が十分に抑制されていないため、郵便投票が大幅に増加するとみられる。

 米ABCニュースによれば、郵便投票利用者の比率は前回の4%から30~40%へ急増すると見込まれ、郵便投票の到着の多くが投票日に間に合わない恐れがある。16州とワシントンDCでは投票日の消印まで、その他4州では投票日の前日の消印までの郵便投票が有効とされるが、ここ数年の財政悪化により、米郵便公社(USPS)の配達には遅れが生じているとも言われている。実際、USPSは7月に全ての郵便投票が開票日に間に合うよう配達されることを保証できないとの通知を、選挙管理当局に発していた。

結果判明が1ヵ月超も遅延した
2000年の米大統領選

 過去の米大統領選において最終結果判明が大きく遅延したケースとして、2000年の大統領選がある。クリントン大統領の2期満了に伴い、共和党のブッシュ・テキサス州知事、民主党のゴア副大統領による選挙は、2000年11月7日に投票が行われたが接戦に。フロリダ州(選挙人は25人)での得票率格差が0.5%未満であったため、機械および手作業による再集計となり、11月26日にハリス・フロリダ州務長官が537票差でブッシュ勝利を認証した。

 この結果、獲得選挙人数は、ブッシュ候補が271人、ゴア候補が266人となり、ブッシュ候補の勝利が確定したかに見えたが、11月27日、ゴア陣営が同州地裁に異議を申し立てたため、大統領選の結果確定は先送りされた。異議申し立ての審判は、州最高裁までもつれ込み、同最高裁が12月8日、全郡での手作業による再集計実施を命じる判決を出した。

 しかし、これに対し、連邦最高裁が翌9日、手作業による集計の停止を命令し、12日にフロリダ州最高裁判決を破棄・差し戻し。これを受けてゴア候補は13日、敗北宣言を行い、ブッシュ候補の勝利が最終的に確定した。こうした混乱は1876年以来とされており、その後、今日に至るまで他に例がない。